技術で選ぶ「今年の鋳物」

「Castings of the Year賞(キャスティングオブザイヤー賞)」は、2012年、日本鋳造工学会によって設立されました。

毎年、最新技術を用いた優れた鋳物を選び、表彰しています。


(※外部リンク)

Castings of the Year賞 2018

名称

鹿野大仏

概要

2018年4月、東京都西多摩郡の宝光寺に造立された高さ12mの青銅製大仏です。鎌倉大仏より高く、鎌倉大仏の製法とは全く異なります。仏像本体は、肉厚7㎜の薄肉鋳物で、内部は鉄骨製構造材により、耐震性を有します。1/10スケールのモデルをスキャンしたデジタルデータを基にした原寸大原型の作成、200余りに分割して鋳造したパーツの溶接技術など、最新の技術と熟練の技が融合した高度な鋳物です。

受賞者名
株式会社鈴木鋳造所
名称

半導体製造装置用真空チャンバ

概要

半導体製造に用いるプラズマエッチング装置等の真空容器です。真空度低下の原因となる砂型アルミニウム合金鋳物中のピンホール欠陥撲滅のため、砂型を使用した差圧鋳造技術を実用化しました。従来は展伸材を切削加工して製作していた半導体製造装置用真空チャンバの鋳物化を可能にし、製造コストの低減や制作時間の短縮、真空室の大型化に成功しました。

受賞者名
谷田合金株式会社

過去の受賞

2017年

名称

Rassenペーパーナイフ

概要

一見デスク上のオブジェのように見えるペーパーナイフですが、親指で力が入りやすい角度で使用できるよう人間工学的にデザインされています。通常のアルミダイカストでは、この形を実現することは不可能でした。中央に開いた穴や両端の薄い形状に溶かしたアルミが回らないためです。「ナノキャスト法」という特殊な鋳造方法を使うことで亜鉛ではなくアルミでデザイナーが表現したいことを実現することができました。「美的芸術性・機能性」と「鋳造技術」で表現できた作品といえます。

受賞者名

有限会社香川ダイカスト工業所

名称

C’s 鋳物

概要

悪臭・刺激臭や高不良率で敬遠されがちなシェルスタック鋳造法に再度光をあて、低臭気RCS製造技術であるSignature technology(SG)とキュポラ溶解による高被削性溶湯を使い、高環境性能・低不良・高精度シェルスタック鋳物を開発しました。注湯時のシェル臭の大幅削減により、住宅地での鋳造工場操業の存続が可能となりました。複雑形状鋳物も低不良率で製造でき、シェルモールドの寸法精度の高さときれいな鋳肌は、精密鋳造品に匹敵します。

受賞者名

株式会社マツバラ

名称

IH炊飯ジャー用南部鉄器内釜

概要

IH炊飯ジャーの内釜は、一般的にアルミ製ですが、この商品は業界で初めて南部鉄器製内釜の開発と量産化に成功しました。南部鉄器製は蓄熱性が高く、炊き始めの沸騰時に素早く熱を伝えることができます。火力を釜内にため込んで激しい熱対流を起こすことで、釜全体に効率よく熱を伝えることができるため、炊き上がりがふっくらと大粒化し、購入者からご飯の味が格段においしくなったとの評判を得ています。南部鉄器の炊飯ジャーへの展開は従来までの南部鉄器のイメージを脱し、知名度向上にも寄与しています。

受賞者名

株式会社水沢鋳工所

2016年

名称

薄肉鋳鋼タービンハウジング

概要

レクサスNX用のツインスクロールターボチャージャーにも使用されたタービンハウジングです。ターボエンジン性能に大きく寄与するツインスクロール形状を、高精度(寸法精度±0.2㎜)、薄肉(3.5㎜)の鋳鋼鋳物で実現しました。耐熱性と被削性を両立するオーステナイト系開発材を採用しています。CO2排出の少ないダウンサイジング(過給)エンジンの量産化に貢献し、現在 適用車種を拡大展開しています。

受賞者名

アイシン高丘株式会社

名称

REC製法によるかご形誘導電動機のアルミ回転子

概要

工場や家電などの電気機器に利用される、誘導電動機(モータ)の回転子(ロータ)です。従来のダイカスト法では、鋳造欠陥などにより電動機の効率を阻害していました。そこで新たに開発したREC製法(高圧凝固鋳造法)は、低速層流充填(0.05m/sec)と高充填加圧(300MPa)により、スロット内部の鋳造欠陥を低減させました。モータ効率が約1.5%改善され、国際規格IECの効率クラスIE2(高効率)をクリアしています。

受賞者名

株式会社木村工業

2015年

名称

銅合金鋳物製不凍湯水混合散水栓

概要

寒冷地の屋外などで、温水を使用するための水栓柱。管の中から湯と水の両方を抜く機能を持ち、湯や水の凍結を防ぎます。厳冬の屋外でも、湯を使用して洗車やペットのシャンプーなどを快適にできるようになりました。

受賞者名

株式会社光合金製作所

名称

北海道型ジンギスカン鍋

概要

北海道の形をしたユニークなジンギスカン鍋。従来品と比較して約20%薄肉軽量化したことで、熱効率が高く、弱火でも火が通りやすいと好評です。 工場にもメディアの取材が訪れ、地域の鋳物づくりの再評価につながりました。

受賞者名

岩見沢鋳物株式会社

2014年

名称

パソコン外装筐体

概要

超薄肉マグネシウムダイカスト品と超薄肉樹脂を組み合わせて製造した、ノートパソコンの外装筐体。マグネシウムダイカストと樹脂の間の境界線が見えず、まるで一つの部品のような外観です。スリムでフラットなデザインで美しい製品です。

受賞者名

筑波ダイカスト工業株式会社

名称

アルミ鋳物製プランター

概要

鋳物の伝統技術を盛り込み、複雑な曲線と重厚感を最大限引き出した、デザインのアルミ鋳物製のプランター。 女性を中心とした営業、開発チームを結成し、女性目線で開発が進められた製品です。

受賞者名

株式会社金森メタル

2013年

名称

高性能チップマウンター鋳物フレーム

概要

電子部品をプリント基板に配置する装置であるチップマウンターの極薄フレームを鋳物で製造。「フラン自硬性鋳造」と「消失模型鋳造」を組み合わせた新鋳造法、「ハーフキャビティモールド」を使いました。

受賞者名

株式会社古久根

名称

セメントバッチャープラント用内張りライナー

概要

このライナーは、世界初の「減圧凍結鋳造」プロセスを導入した工場実用ラインによって作られました。このプロセスは、砂に水だけを混ぜ、マイナス40℃で凍らせた鋳型を使用します。生砂に使うベントナイトや自硬性砂等に使う樹脂などの粘結剤を必要としないので、造型バインダー費を削減できます。さらに、砂の再生プロセスが不要なので、産業廃棄物の発生を抑えることができ、環境負荷が小さい手法です。工場内の酷熱作業回避による作業性向上も期待されています。

受賞者名

株式会社三共合金鋳造所

2012年

名称

シリコン鋳造による高純度錫のテーブルウェア

受賞者名

株式会社能作

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