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電動アクチュエータ(電動シリンダ)や油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)どちらを選定すればよいのか、どんな違いがあるのか、アクチュエータの検討でお悩みではございませんか?
本記事では、電動アクチュエータと油圧アクチュエータの違いについて、わかりやすく説明します。
目次
アクチュエータとは、入力されたエネルギーを機械的な動作に変換する駆動装置のことです。ものを押したり引いたり、形を変えたり、接合したりと、ものづくりの現場で幅広く活用されています。
アクチュエータには様々な駆動方式、いわゆる動かし方があり、主に電気の力、油の力、空気の力などがあります。
アクチュエータの代表的な種類として「電動アクチュエータ」がありますが、似た名称に「電動シリンダ」があります。両者の違いについて結論から言うと、アクチュエータとシリンダは認識や呼び方の違いであり、ほとんどの場合、同じ意味で使われています。
アクチュエータは、もともと「動作させるもの」という意味の英語で、電気・油圧・空気圧などのエネルギーを、伸縮・屈伸・旋回といった直線運動や回転運動の機械エネルギーに変換する、広い概念での駆動装置を指します。一方で、シリンダは一般的には円筒形の物体や容器を意味する英単語ですが、駆動装置の分野では直線運動に特化した装置を指すことが多く、アクチュエータの一種と捉えられることもあります。
アクチュエータには様々な駆動方式がありますが、代表的なものは次の3種類です。電気式の電動アクチュエータ、油圧式の油圧アクチュエータ、空気圧式の空気圧アクチュエータです。
電動アクチュエータは、一般的にサーボモータを動力源として使用します。「省エネ」「高精度」「メンテナンスが容易」といった特長があり、主に組立装置や搬送機械などの生産現場で広く活用されています。
油圧アクチュエータは、大きなパワーを発揮できることが特長で、プレス機械、工作機械、建設機械などで活用されています。
空気圧アクチュエータは、構造が単純で扱いやすいため、一般産業機械や食品製造機械などで活用されています。
電動アクチュエータとは、電気エネルギーを利用する電気式のアクチュエータで、一般的にはサーボモータを動力源として使用します。サーボモータの回転をボールねじによって直線運動に変換し、ピストンロッドを伸縮させる駆動装置です。
電動アクチュエータは「省エネ」「高精度」「メンテナンスが容易」といった特長を持ち、主に組立装置や搬送機械などの生産現場で広く活用されています。新東工業の電動アクチュエータは、サーボモータとロードセル(荷重センサ)を採用し、専用サーボコントローラによって位置と荷重を高精度に制御することで、多彩な動作を実現します。また、電動アクチュエータは油圧アクチュエータと異なり、油圧ユニットや油圧配管が不要なため、メンテナンスが容易で、油漏れの心配がなくクリーンな作業環境を構築できます。さらに、消費電力を低減し、カーボンニュートラルな工場づくりにも貢献します。

電動アクチュエータは、一般的にサーボモータを動力源として使用します。サーボモータの回転をプーリとタイミングベルトで伝達し、ボールねじを回転させることで、ボールねじナットを介してピストンロッドを伸縮させ、直線運動に変換します。サーボモータの回転量を制御することで、高精度な位置決めが可能です。また、ロードセルを用いることで、正確な荷重制御も実現できます。
電動アクチュエータは、駆動時のみサーボモータが運転するため、エネルギー効率が高く、消費電力を削減できます。これにより、CO2排出量も減らせるため、環境負荷低減に貢献します。
電動アクチュエータは、簡単な数値入力で正確な位置・荷重・速度の制御が可能です。そのため、精密な動作が求められる用途でも活躍します。さらに、プログラム制御により高精度な品質判定を自動で行うことができ、品質向上にも貢献します。
電動アクチュエータでは、油圧アクチュエータで必要となる油圧ユニット、油圧バルブ、油圧配管が不要なため、油漏れ対策や油の管理といったメンテナンスも不要になります。
電動アクチュエータは、アクチュエータごとに動力源としてサーボモータを使用するため、油圧アクチュエータと比較すると導入コストが高くなる場合があります。一方で、省エネ性能が高く、メンテナンスも容易なため、ランニングコストは比較的低く抑えられます。
油圧アクチュエータとは、油の力をエネルギー源とする油圧式のアクチュエータです。油圧ユニットで生成した高圧の作動油を配管を通じてシリンダに送り込み、ピストンロッドを伸縮させる駆動装置です。
油圧アクチュエータは、比較的高い推力で動作できるため、プレス機械、工作機械、建設機械などで広く利用されています。一方、電動アクチュエータと比べると、油圧ユニットや油圧配管が必要になるため、設置スペースの確保や油漏れ対策が求められます。さらに、油漏れが発生すると作業環境が汚れるだけでなく、火災リスクも高まります。
油圧アクチュエータは、油圧エネルギーを機械的な直線運動に変換する駆動装置です。基本構造は、シリンダ本体、油圧配管、油圧ユニットで構成されています。油圧ユニットで加圧された作動油が配管を通じてシリンダ内部に供給されると、ピストンが油圧を受けて移動し、ピストンロッドが伸縮します。この動作により、大きな推力を発生させることができます。また、ピストンの両側に油を供給することで、前進・後退の双方向動作が可能です。
油圧アクチュエータは、比較的高い推力で動作ができます。高圧の作動油を利用するため、コンパクトな装置でも大きな力を発揮できます。この特性から、プレス機械や工作機械、建設機械など、重負荷がかかる産業分野で広く採用されています。
※新東工業の電動アクチュエータでは、最大100トンの実績があり、電動でも高推力に対応します。
油圧アクチュエータは、1台のポンプ(油圧ユニット)から複数のアクチュエータを動かすことができるため、電動アクチュエータと比べてイニシャルコストを抑えられる場合があります。
油圧アクチュエータは、油漏れ対策や油の交換・管理が必要で、保守作業の負荷が高く、ランニングコストも高くなります。さらに、油漏れが発生すると、作業環境が汚れるだけでなく、火災リスクが高まるため、安全管理にも注意が必要です。
油圧アクチュエータは、シリンダ本体はコンパクトですが、油圧ユニットや油圧配管が必要なため、電動アクチュエータに比べて設置スペースの確保が必要です。
ここまで、アクチュエータの概要や、電動アクチュエータ・油圧アクチュエータそれぞれの特長や構造について説明してきました。
この章では、電動アクチュエータと油圧アクチュエータの違いについて解説します。
アクチュエータを選定する際の参考として、ぜひご活用ください。
電動アクチュエータ
油圧アクチュエータ
この記事では、電動アクチュエータと油圧アクチュエータの違いについて解説しました。
新東工業では電動アクチュエータ(電動シリンダ)の製造・販売を行っています。弊社の主力製品である新東サーボシリンダCYAP-Dシリーズは、業界最小・最軽量クラスのコンパクト設計により、設備全体の省スペース化や設備高さの短縮に貢献します。さらに、業界トップクラスの位置精度(±5μm)と荷重精度(±0.5%)により、品質向上や加工不良の低減に貢献します。
油圧アクチュエータから電動アクチュエータへの置き換えをご検討中のお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。弊社では、実機検証が行える施設もご用意しておりますので、ぜひご活用ください。