環境関連法規
じん肺法
1960年に施行された法律。さまざまな物質の粉塵を長期にわたって吸引すると、粉じんが肺のなかに沈着し、「じん肺」という不治の病の原因になるといわれています。そこで溶接や採掘、坑内作業や金属の精錬・鋳造・切断等のような、鉱物性のほこりを生じやすい24種類の作業に関して法律では、健康に悪影響が出ていないかを確認するよう義務付けられています。
労働安全衛生法
1972年に、労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を促進するために制定されました。1979年には、粉じんにさらされる労働者の健康障害防止のため、「粉じん障害防止規則(粉じん則)」が制定され、一歩進んだ粉じん対策の義務づけが明確化されました。
粉じん障害防止規則(粉じん則)
概要
事業者は粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止するため、設備、作業工程または作業方法の改善、作業環境の設備等必要な処置を講ずるように努めなければならない。
【第1条】 対象は粉じん作業と特定粉じん作業を規定し、その中に局所排気装置を義務付けている。
Ⅰ.粉じん作業
(1) 粉じん減少のための全体換気装置による換気または同等以上の措置。
(2) 粉じん作業を行う作業場以外の場所における休憩設備の設置。
(3) 屋内作業場における毎月1回以上の清掃。1ヶ月以内ごとに1回定期に真空掃除機あるいは水洗いによる清掃の実施。
Ⅱ.特定粉じん作業
(1) 局所排気装置の要件
a フード、ダクト、ファンは機能的に設置し、排出口は屋外に設けること。
b 有効に稼動させること。
c 1年以内ごとの定期自主点検の実施とその記録保持等。
(2) 除じん装置の要件
a 有効に稼動させること。
b 1年以内ごとの定期自主点検の実施とその記録保持等。
(3) 粉じんの発散防止及び作業場の換気の方法等についての特定の教育の実施。
(4) 土石・岩石・鉱物・金属または炭素の粉じんを著しく発散させる屋内作業場における粉じん濃度の測定とその記録保存。
Ⅲ.計画の届出
※粉じん作業設備(集じん機)等の設備届けを工事開始の30日前に届け出ること(労働基準監督署長宛)
作業環境測定法
1975年5月には作業環境の測定について、作業環境測定士の資格および、測定期間などについての作業環境測定法が制定されました。
作業環境測定法施行令
作業環境測定法施行規則
大気汚染防止法
国民の健康保護と環境保全を目的に制定されました。工場や事業場から排出または飛散する大気汚染物質について、物質の種類ごと、施設の種類・規模ごとに排出基準等が決められています。
揮発性有機化合物排出施設とVOC排出基準値
施設 | 施設の規模 | VOC排出基準値 |
---|---|---|
揮発性有機化合物を溶剤として使用する化学製品の製造用乾燥施設 | 送風機の能力が3,000m3/h以上のもの | 600ppmC |
塗装施設(吹付塗装に限る) | 送風機の能力が100,000m3/h以上のもの | 自動車用:新設 700ppmC 自動車用:既設 400ppmC その他施設 700ppmC |
塗装(吹付塗装・電着塗装を除く)用乾燥機 | 送風機の能力が10,000m3/h以上のもの | 木材・木製品用 1,000ppmC その他 600ppmC |
印刷回路用銅張積層板、粘着テープ、もしくは粘着シート・ はく離紙または合成樹脂を積層する包装材料の製造用乾燥設備 |
送風機の能力が5,000m3/h以上のもの | 1,400ppmC |
接着用乾燥施設(木材または木製品の製造用は除く) | 送風機の能力が15,000m3/h以上のもの | 1,400ppmC |
オフセット輪転印刷用乾燥施設 | 送風機の能力が7,000m3/h以上のもの | 400ppmC |
グラビア印刷用乾燥施設 | 送風機の能力が27,000m3/h以上のもの | 700ppmC |
揮発性有機化合物による工業用洗浄施設 | 揮発性有機化合物が空気に接する面の面積が 5m2以上のもの |
400ppmC |
ガソリン、原油、ナフサその他の温度37.8℃において蒸気圧が20kPaを超える 揮発性有機化合物の貯蔵タンク |
容量が1,000kl以上のもの(既設は2,000kl以上) | 60,000ppmC |
水質汚濁防止法
1970年12月、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的として施行された法律制定された。
詳しくは関連省庁のホームページ・法改正情報をご確認いただくか、弊社までお問合せください。
局所排気装置における制御風速と風量計算
局所排気装置における制御風速
粉じん障害防止規則には特定粉じん作業における局所排気装置の設置義務と、局所排気装置の性能を得るためのフードの型式に応じた制御風速が定められています。
(1)第4条の規定および第27条第1項ただし書き(呼吸用保護具の着用除外規定)の規則により特定粉じん発生源に設けるフードの型式、並びに制御風速の一般例を表1に示します。特定粉じん作業やフードの型式に応じて制御風速をだし得るものである必要があります。
▼表1 特定粉じん発生源における制御風速
フードの型式 | 制御風速[m/s] | |
---|---|---|
囲い式フード | 0.7 | |
外付け式フード | 側方吸引型 | 1.0 |
下方吸引型 | 1.0 | |
上方吸引型 | 1.2 |
表1における制御風速は、
1.同時に使用することのある局排装置すべてのフードを開放した場合の制御風速です。
2.フードの型式に応じてそれぞれ次に掲げる風速をいいます。
- 囲い式フード:フード開口面における最小風速。
- 外付け式フード:特定粉じん発生源に係る作業位置のうち、発散する粉塵を当該フードにより吸引しようとする範囲内における、当該フード開口面から最も離れた作業位置の風速。
(2)(1)のうち、研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械に係る特定粉塵発生源に設けるものにあっては、表2に示すいずれかの設置方法により、それぞれ定められた制御風速を出し得るものであることが必要です。
▼表2 回転体を有する機械の発じん源における制御風速
フードの設置方法 | 制御風速[m/s] |
---|---|
回転体を有する機械全体を囲う方法 | 0.5 |
回転体の回転により生ずる粉じんの 飛散方向をフード開口面で覆う方法 |
5.0 |
回転体のみを囲う方法 | 5.0 |
表2における制御風速は、
1.同時に使用することのある局排装置すべてのフードを開放した場合の制御風速です。
2.回転体を停止した状態におけるフード開口面での最小風速です。
フード型式別排風量計算式一覧表
フードの形式 | 例図 | 排風量Q[m3/min] |
---|---|---|
囲い式 | Q=60・A・Vo =60・A・Vc Vo:開口面の平均風速[m/s] Vc:制御風速[m/s] |
|
外付け式 (長方形または 円形キャノピー型フード) |
Q=60・Vc・(10X²+A) | |
外付け式 (スロット型フード) |
Q=60・3.7・L・X・Vc | |
外付け式 (自由空欄に設けた 円形または長方形フード) |
Q=60・1.4・P・H・Vc |
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