TCFD提言に基づく情報開示
FSB(金融安定理事会)の設置したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)より、最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」が2017年6月に公表されました。新東工業グループは気候変動に関するシナリオ分析等を行い、2022年6月、TCFD提言への賛同を表明しました。
主力の鋳造事業等、エネルギーを使用する新東工業グループにとって、カーボンニュートラルは喫緊の課題と捉えて活動を推進しています。2017年には、創立100周年に向けて「環境経営」の方針を策定し、「エコプロダクツ・サービス(環境配慮商品の提案活動)」「エコファクトリー(省エネルギー活動)」「エコロジスティクス(物流の効率化活動)」の3つの活動により、CO2排出量の削減と情報開示に取り組んでいます。
ガバナンス
社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候関連リスク及び機会に係る組織のガバナンスとして、当社グループにおけるSDGsに関する諸課題、特に気候リスク・機会の評価、事業戦略に関する事項を審議・フォローしています。サステナビリティ委員会の決議事項は取締役会に報告、監督しています。
リスク管理
サステナビリティ委員会にて、気候関連のリスクが大きいと評価された項目は、リスク管理委員会と情報を共有し、統合的に管理します。
指標と目標
2017年の計画策定当初は、CO2排出量を当社単独で2013年度比40%削減、当社グループでは2015年度比25%削減を目標に活動してきました。そのような中、国際社会の気候変動対策への機運の高まりを受け、2021年度を基準年とし、2030年度、さらには2034年度(創立100周年)までに、Scope1および2におけるGHG排出量を年率3%削減する新たな目標値を設定しました。今後、Scope1および2に加えて、Scope3の排出量についても算定を進めていく予定です。
新睦会会員(取引先)42/84社からデータを収集(2023年4月〜2024年3月実績)
1社あたりの平均CO2排出量削減率:10.0%(前年比実績)
戦略
産業革命前の世界の平均からの気温上昇が2℃を十分に下回る(2℃未満シナリオ)と4℃の場合(4℃シナリオ)について、世界観を想定し、シナリオ分析を行いました。
シナリオ | 世界観 | 主な参照先 |
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2℃未満シナリオ |
脱炭素社会への移行に伴う変化が事業に影響を及ぼす(主として、移行リスク)
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WEO2022(APS)、 |
4℃シナリオ |
気象変動による物理的な被害が事業に影響を及ぼす(主として、物理リスク)
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WEO2022(STEPS)、 |
2℃未満、4℃シナリオについて、当社グループに重要な影響のあるリスク・機会を洗い出し、財務への影響額を算定するとともにサステナビリティ委員会において影響額の大きなリスク・機会を認識し、対応策を審議しました。引き続き他のリスク、機会のさらなる分析、対応策の検討などを進め、TCFDフレームワークに基づいた情報開示を強化していきます。
試算の結果、影響が大きいと特定された気候変動リスク・機会は以下の通りです。財務への影響評価を行い、今回は炭素税の導入、低炭素技術への移行、極端な気象現象の増加、CO2低排出製品・サービスの拡充について、対応策を検討しました。
大分類 | 中分類 | 小分類 | 特定された気候変動リスク/機会 | 対応策 |
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移行リスク | 政策と法 | 炭素税の導入 |
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CO2排出量を前年比で3%削減する取り組み |
省エネ政策の強化 |
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EV市場向けの商品拡大 | ||
技術市場 | 低炭素技術への移行 |
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環境配慮商品(202商品)の販売促進 および商品ラインアップの拡充 |
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市場 | エネルギー市場の変化 |
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太陽光発電装置の設置 | |
物理的リスク | 急性 | 極端な気象現象の増加 |
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BCPの充実(工場補強、部品・消耗品在庫の充実) |
慢性 | 平均気温の上昇 |
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工場の空調整備他対策実施 | |
機会 | 資源効率性 | 生産効率の向上 |
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電力の見える化によるムダ削減 |
エネルギー源 | 再エネ政策の利用 |
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太陽光発電や風力発電の装置に関連した商品・サービスの展開 | |
製品・サービス | CO2低排出商品・ サービスの拡充 |
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消耗品・集塵ダストリサイクルの推進 環境配慮商品(202商品)の販売促進 および商品ラインアップの拡充 |
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市場 | 新市場の創出 |
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油圧シリンダから電動シリンダへの提案 |