「女性活躍の場の拡大」への取り組み

重点項目

女性活躍推進に
向けて

2021年6月、新たに女性取締役を迎えたのを機に、当社グループはSDGs経営の一環として「多様な人材の育成と活躍推進」をより一層加速していきたいと考えています。中でも、女性の活躍の場の拡大はグループ各社に共通する喫緊の課題と言えます。女性が働き続けやすい職場づくりに向けた現状と今後の課題につき、女性社員自身がどのように感じているのか、人事部長も交えて意見交換を行いました。

MEMBERS

※2022年3月時点

社外取締役
内永 ゆか子

執行役員
総務・法務部長
家田 明日香

知的財産グループ
マネージャー
會田 玲子

環境事業部
業務管理チームリーダー
村田 久美子

人事部長
安藤 之一

新東工業の女性活躍の現状について、どう思いますか?

安藤:新東は設備製造メーカーであり扱っている製品も重厚長大の部類に属するため、歴史的に女性比率は高くありません。2021年3月現在の全社員に占める女性の比率は14.3%で、他の製造業と比べても多いとは言えない状況です。

家田:確かに取り扱っている製品が大きな生産設備であり、製造関係の女性比率が低いことは、ある程度理解できます。しかし、技術職や営業職等でも女性の比率が決して高いとは言えず、改善の余地は大いにあると思っています。

村田:当社は、以前よりいわゆる総合職と一般職とに業務を区分する人事制度を運用しています。もちろんそこにはジェンダー(性差)の概念はありませんが、結果として総合職は男性、一般職は女性が大半を占めているのが実情です。これは、会社のしくみというより、社会的な考え方が影響していると思いますが、そうは言っても女性の数はもっと増やしていきたいですね。

あらためて「ダイバーシティ&インクルージョン」の意義についてお考えをお聞かせください

内永:世界は急速に国境の壁、時間の壁、距離の壁がなくなり、それに伴いビジネス環境が激しく変化していることは皆さんもご承知のとおりです。ムーアの法則によれば、10年でITは100倍、ネットワークは1000倍進化すると言われているぐらいです。そのようなスピードに追随していくためにはイノベーションが不可欠で、そのためには多様な考え方を尊重し活用していくことが求められます。その観点から、ダイバーシティ&インクルージョンはイノベーションとグローバル経営戦略の要であり、中でも女性活用はその第一歩と言えるでしょう。身近なところに多くの対象者がいて、しかも会社のしくみや風土を理解した人も多いため、女性社員を活用しない手はありません。決して女性のために女性活躍推進を進めるのではなく、あくまで経営戦略として進める必要があるということを理解して下さい。

新東工業も昔と比べると女性総合職が増えつつありますが、社内の雰囲気は変わったと思いますか?

安藤:当社は1990年代より女性総合職の採用に力を入れてきましたが、まだまだその数は少なく現状でも総合職に占める女性の割合は5%弱といった状況です。特に技術職以外は男性に比べて勤続年数が短く、そのあたりへの対応が今後の課題だと認識しています。

會田:私は4年前に管理職として新東に転職してきました。確かに総合職とりわけ女性管理職の数は少ないと思いますが、かといって仕事を進めるうえでの難しさや疎外感は感じません。同じ役職であれば、男女の違いは感じることなく仕事ができる環境になっていると思います。

家田:確かに私の周りにも総合職としての女性技術者は増えてきていると思います。今では一時のような違和感もありません。彼女たちのほとんどはまだ若い世代なので、彼女たちが順調に育ち組織の中核を占めるようになれば、職場の雰囲気も大きく変わっていくと思います。

村田:以前は女性総合職というと何か特別視されていたように感じていましたが、最近は全く状況は変わり社内で違和感を持って受け止められることはなくなってきたと思います。女性が活躍する場としての社内の雰囲気も、徐々に変わってきているという手応えは感じています。

女性が社内でキャリアアップしていくうえでの阻害要因についてどう思われますか?

内永:まず第一に、社内でロールモデルとなる先輩がいないため、女性としての具体的なキャリアアップの道筋や将来像が描きにくいことが挙げられるでしょう。次に、仕事と家事や育児とのバランスを取ることが難しい(と考えている人が多い)こと。さらに、社内の風土として、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という、女性には入り難い、男性達の阿吽の呼吸や価値観、仕事の進め方がカベとして存在することが挙げられるでしょう。

會田:「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉は初めて聞きましたが、おっしゃるとおり、仕事の上で何かよくわからない暗黙の了解みたいなものがあるのではないかとは薄々感じていました。そう感じるのは自分だけだと思っていましたが、やはりあるんですね。でも、そうとわかれば、こちらから積極的に入り込んでいくという姿勢も大事だと思います。

キャリアアップの支援策も含めて、女性が活躍しやすい環境づくりに向けて、ご意見を聞かせてください

家田:やはり女性のロールモデルというのは重要だと思います。今後どのような能力を修得してどのような経験を積んでいけばいいのかイメージがわかないというのが正直な感想だと思います。社内でモデルとなる人を育てていくことも重要でしょうし、他社でもいいので、実際に管理職やリーダーとして活躍されている女性の経験談などを聞く機会があれば大いに参考になると思います。

會田:同感ですね。それと同時に女性が受けられる社内研修も少ないように感じます。総合職であれば受講できる研修に男女の差はありませんが、一般職に対する意識付けのための研修やキャリアを考えさせる研修などはもっとあっていいのかなと思っています。それにより、会社の女性に対する期待も感じてもらえるのではないかと思います。

村田:女性にとって働きやすい環境づくりという点では、転居を伴う異動の有無に関してもっと柔軟なしくみがあっていいと思います。やはり総合職か一般職かを考えるときに、大きな要因になっていると思いますので。また、男性も含めて、育児や介護に対する支援の充実、柔軟な勤務体系なども整備されると、新東を志望する女性ももっともっと増えていくのではないでしょうか。

安藤:今日の話にもあったように企業としてダイバーシティ&インクルージョンの推進は不可欠です。そのため、社内に「ダイバーシティ推進プロジェクト」を立ち上げ、女性メンバーを中心に、活動を推進していきます。また、当社の女性の管理職比率は、2021年現在2.5%ですが、これを2023年度までに5.0%以上にすることを努力目標として掲げました。そのための予備軍の計画的な育成など課題はたくさんありますが、皆で女性活躍の推進に向け活動を加速していきたいと思います。

社員人数 女性人数 割合
全社員 1,715名 254名 14.8%
管理職層 315名 11名 3.5%

※新東工業単体/2023年3月時点

最後に、女性活躍の一層の推進のために必要なことにつき、お考えをお聞かせください

内永:女性活用を促進する風土という点では、まず会社の方針として女性活用を明確に宣言し、そのためのアファーマティブアクションを推進すること。もちろん、男性社員の理解と協力も必要です。さらに、今日、お話に出たようなフレキシブルな就業環境の整備、組織としての透明性や公平な評価システムなどが必要になってくるでしょう。また、女性たちへのメッセージとして、以下を挙げたいと思います。まず第一に、自分のキャリアに対する目標を明確に描くこと、さらに、与えられたチャンスに積極的に挑戦すること、個人としての強みを持つこと、社内外の人とのネットワークを大切にすること。これらに加え、すべてを完璧にこなそうとしない姿勢も必要と思っています。女性の皆さんには、組織の上に行くことの面白さを知り、もっと自分に自信をもってチャレンジしていっていただきたいですね。

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