マイクロブラストとは
マイクロブラストはエアーブラストの原理により、10μm~70μm程の微細砥粒を使用して高速で定量的に被加工物に噴射し、脆性破壊原理により高精度な微細加工を実現する技術です。電子部品などの微小ワークを加工する際に、マイクロクラックや加工変質が極めて少ない高品質で高品位な微細加工ができます。
マスク工程
- マスキング
- パターンを形成するために用いる保護材でレジストフィルム、メタルマスク(SUS板)、粘着シールなどを使用します。
- レジストフィルム
- ウレタン系の保護フィルムでケミカル用、ブラスト用がある。
- パターニング
- 文字や溝加工、穴加工など作成したい物の配置を表しています。
- フォトリソ
- 写真現像の意味を表し、原版よりパターンを焼き付ける方法です。フォトリソグラフの略です。
- ラインスペース
- パターニングする際のラインとラインのギャップのことでL/S=1:1であれば加工ライン幅と残しライン幅が同じということである。
- クリーンルーム
クラス1000 - クリーンルーム(無塵室)のレベルを表しており、1㎥に1000個以下の場合がクラス1000、10個以下の場合はクラス10となります。
- ラミネート
- レジストフィルムをワークに密着させて貼り合せることで熱による圧着を行います。貼り合せ装置はラミネーターといいます。
- 露光装置
- UV照射によりレジストフィルムをUV硬化させる装置でラミネートされたワークにポジフィルムをセットし、露光します。
- 現像装置
- 露光されたマスクに現像液を噴射し、未硬化部分の現像を行う装置です。手現像方法と自動現像方法(スピンコート式、スプレー式)があります。
- 恒温装置
- マスク形成後の乾燥やマスク形成前のワーク温めに使用します。
- ポジフィルム(原版)
- パターンを形成する際の原版となり、フィルムタイプとガラスタイプがあります。
- マスク剥離
- レジストフィルムの場合は溶剤を使用して膨潤させて剥離します。
マイクロブラスト工程
- Pass回数
- ノズル送り回数で片道分のノズル送り量を意味します。
- ピッチ送り
- ノズルを走査させ均一加工する際のノズル送り量です。ピッチが大きいと加工ムラの要因となります。
- 加工レート
- ワークに対しての加工量の割合で例えば1Pass当りの深さ(加工量)で判断します。
- アスペクト比
- ブラスト加工における穴径、加工幅に対する深さの限界割合です。
- テーパ形状
- ブラスト加工の特性であり、加工形状がすり鉢状態となります。ガラス、セラミックスなど硬度の違い等により傾斜角度が異なります。
- マスクレス加工
- マスキングフィルムなどを使用しないでノズル径だけで加工する方法です。グラデーション加工や切断、穴あけ、溝加工が可能です。
仕上げ
- グラデーション加工
- ノズル径だけのマスクレス加工による色調を変化させる加工で、ブラストの場合は面粗さを変化させます。
- スルーホール
ビアホール(VIA) - 貫通穴加工(スルー)と止り穴加工(ビア)のことです。丸穴や四角穴が含まれます。
- エッチング
- ケミカルエッチングと同じで掘り込み加工のことです。
- パターニング
- 加工したい模様付けのことです。
- ダイシング
- 外周などの切断加工のことです。
- スリット、ストライプ
- 溝加工のことで長方形がスリット加工となります。
- チッピング
- ブラスト加工などによる製品のカケのことです。
- クラック
- ブラスト加工などによるヒビ割れのことでブラスト加工は脆性破壊加工のため必ず発生します。
その他
- 硬脆材料
- 硬くて脆い材料のことで一般的にはガラス、セラミックなどが対象となります。
- 脆性破壊加工
- 噴射材などの研削材を高速で衝突させ、クラックを発生させながら、母材を加工していく方法です。
- 微細砥粒
- #400よりも細かいサイズの砥粒のことです。